医師免許に種類はあるの?医師の資格について興味がある方、または医師を目指そうと言う方の中には医師免許は何種類あるのだろうと疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
日本に於ける医師制度は海外の制度と比べて少々特別なものとなっているため、詳しい制度を見てみると驚く方も少なくありません。
そこで今回は、日本に於ける医師制度について免許の種類や免許取得までの道のりを中心に、医師免許について解説していきます。
医師免許に種類はあるの?医師免許はいくつあるのか?
日本に限らず病院には内科や外科など身近な診療科目から、循環器内科や心臓外科などより細分化された診療科目がありますが、日本の場合これら全ての診療科目は「医師免許」という1つの資格があれば、どの科でも診療を行う事が可能です。
つまり日本の医師免許は1つしか存在しないと言う事なのです。
例外としてもう1つ「歯科医師免許」という資格が存在しますが、歯科医師は「医師国家試験」では無く「歯科医師国家試験」と言う異なる区分の国家資格であるため、正式には医者では無く医療従事者という括りになります。
分かり易く例を挙げると、医師免許保持者は歯科を含む全ての診療科目に携わる事ができますが、歯科医師免許保持者は歯科以外の診療や医療行為を行う事は一切行えないと言う事になります。
医師免許1つで全ての診療科目を補う制度は、世界的にも珍しく医学の先進国でもあるイギリス・アメリカ・ドイツなどでは診療科目に応じてそれぞれ専門の医師免許が必要となる制度が導入されており、この事が要因となり日本に於ける医師制度は少々特別なものとなっているのです。
医師免許に種類はあるの?医師免許を取得するまでの道のりは?
日本の医師制度は医師国家試験に合格すれば、資格を取得する事ができますがここでは、医師免許を取得するまでの道のりを説明していきます。
まず医師国家試験の受験資格ですが、国が認めた大学に設置されている医学部の6年制課程を全て修了していなければ、受験資格を得る事はできません。
これは「医師法」という法律で定められた規定となっており、医師法第十一条の「学校教育法に基づく大学において医学の正規課程を修めて卒業したもの」という項目に該当します。
そのため、将来医師を目指す方は大学入学時に医学部または、それに準ずる学科を専攻しなければ受験資格を得る事はできません。
6年間の学習は、医療の基礎を学ぶと共に実際に治療を行う現場を経験し、自分が専攻したい診療科目を専門的に学んで行く事になります。
受験に対して年齢制限などはありませんが、修了課程までの期間が長い事やその間の収入が無く授業料も高い事から、医師免許の取得は様々な条件が整っていないと難しいと言われています。
また例外として、海外の医学部に所属し日本で医師国家試験を受験する場合には「医師国家試験予備試験」と呼ばれる試験に合格し1年以上の診療研修や実地修練を行わなければ日本に於ける医師国家試験を受験する事はできません。
これら全てに合格した後、2年間の実務経験や臨床経験を経る事で正式な医療行為を行う事ができるのです。
医師免許に種類はあるの?認定医とは?
日本の医師制度は医師免許を所持していてればどの診療科目でも選択を行う事が可能ですが、ここでは認定医について解説していきます。
認定医とは、各診療科目で独自に構成される医学会に於いて高度な技術や知識を持ち、その学会から正式に認められた医師または医療従事者の事を認定医と呼んでいます。
正式には「学会認定専門医」と言う名称で、内科や外科をはじめ100にも及ぶ専門学会が存在しており、主に筆記試験や実技試験の合格を以て正式な認定医として認められる事になっています。
受験資格は指定研修病院での勤務期間や各学会が開催する講演会への参加を一定数こなす事によって試験資格を与えられ、各学会へ登録を行っているが認定を受けていない医師や医療従事者の事を「学会登録医」と呼んでいます。
基本的には医師免許を持つ医者に対して認められる制度ですが、歯科に於いては厚生労働省からの許可が出ているため、歯科医師でも認定医を取得する事が可能です。
また、認定医の資格は各国家資格とは異なり、医学会が独自に制定している制度なっているため、医師免許の取得とは別に受験する必要があります。
医師免許に種類はあるの?専門医とは?
専門医とは、各診療科目の認定医よりもさらに高度な技術と知識を持った医師または医療従事者の事を専門医と呼んでいます。
基本的には認定医の中からさらに診療科目の的を絞った専門知識と経験に富んだ認定医の事を指し、内科医の中でも消化器内科や循環器内科、外科医の中でも整形外科や脳神経外科など各臓器の専門的な医師である事を名乗る事が可能です。
また、総合病院以外の個人経営クリニックなどでは医療法上広告可能な専門性をアピールする事も可能となり、「○○消化器内科」や「○○脳神経外科」など専門的な名前を使用する事ができ、これらの病院には専門医が所属している証にもなっています。
専門医の認定を受けるには、各専門医資格認定団体で試験を受ける必要があり基本的には各専門学会が認定団体を兼任しているため指定された条件が整えばどの医師でも受験を行う事が可能です。
また、認定医資格の場合と同様に医療従事者である歯科医師にもこの専門医制度が厚生労働省から認められているため、制度の指標としては医師の場合と基本的には同じ制度となっています。
こちらの専門医制度も、各学会が独自に制定している制度なっているため、医師免許や歯科医師資格とは別に受験し認定を得る必要があります。
医師免許に種類はあるの?指導医とは?
指導医とは、高度な技術と豊富な経験を持ち医学生や後進の育成などを指導する立場の医師または医療従事者の事を指導医と呼んでいます。
指導医は、認定医や専門医のように各学会の試験等によって得る資格では無く、選出や立候補などで決められるため各診療科目によっては指導医が存在しない科もあり在籍の有無について明確な規定はありません。
そのため高度な技術を持ち経験を重ねている専門医で厚生労働省が設けている「指導医講習会」を受講していれば、どなたでも学会の承認を得て指導医となる事が可能です。
大きな総合病院や大学病院では独自に専門医の設置を行っている場合もあるため、この場合には各専門学会の承認を得る必要はありません。
指導する立場と言っても責任のある立場には変わりが無く、他の医師や看護スタッフを含めた全ての責任を背負う重要なポジションでもあるため、それなりの技量と責任を請け負う覚悟が必要となってきます。
医療従事者である歯科医師においても医師の場合と同様に、厚生労働省が示す指導歯科医講習会等を受講する事で、指導医となる事が可能です。
医師免許に種類はあるの?まとめ
今回は、日本に於ける医師制度について免許の種類や免許取得までの道のりを中心に、医師免許について解説してきましたが、医学部等の6年制の修了課程を終えなければならないなど医師免許を取得するには長い時間を要する事が分かると思います。
また、日本の医師制度は免許の種類が1つとなっておりイギリスやアメリカなどの医療先進国とは制度が異なり、医師免許があればどの診療科目でも医療行為を行う事ができると言う特徴があります。
認定医や専門医の資格は国家資格では無く各医学会が独自に制定する制度ですが、専門的な医療行為を行うためには不可欠なものであり、各診療科目の専門知識を深めていく制度であると言えます。