医者は歯医者を見下すようなことがあるのでしょうか。
医者と歯医者には、どのような違いがあるのか。
どちらの職業も名前に「医者」がついています。
ところが、働いている医者の中には歯医者を見下している人がいることも。
ここでは、医者と歯医者の違いについて説明します。
医者は歯医者を見下す?医者と歯医者の違い
医者と歯医者は、持っている資格も仕事の内容にも違いがあります。
医者と歯医者になるには、それぞれ医学部、歯学部に6年間通って国家試験に合格する必要があります。
国家試験に合格すると、医者は医師免許、歯医者は歯科医師免許を取得することができます。
医者と歯医者の違いは、治療の対象としているからだの範囲です。
歯科医師免許で治療できるからだの範囲は次の通りです。
口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底、軟口蓋、顎骨(顎関節含む)、唾液腺(耳下腺を除く部位) |
歯医者は、この範囲であれば医者と同じように治療ができます。
歯科医師法では、「歯科医師でなければ歯科医業をおこなうことはできない」と定められています。
医師免許を持っていれば、歯や口の中を治療することもできますが、歯科医師と名乗ることはできません。
医者は歯医者を見下す?そもそも歯医者とは?
そもそも、歯医者とはどのような仕事をしているのでしょうか?
歯医者は、歯の治療だけでなく、口の中の粘膜、舌や顎を含めた口全体の診療をすることを仕事としています。
歯医者の仕事をわかりやすく3つに分類すると、以下の通りです。
- 噛む、食べるに関わること
- しゃべること
- 口の審美的なこと
歯医者は、これら3つに関わる治療や予防を行っています。
そして、また医者と同じように手術などの治療行為も行っています。
例えば、歯医者もインプラント(人工歯根)のような手術を行ったり、摂食嚥下のリハビリに携わったりしているのです。
医者は歯医者を見下す?口腔外科医と歯医者は同じ資格
歯医者との違いがわかりにくい医者には、「口腔外科医」がいます。
比較的大きな病院には口腔外科があります。
口腔外科医は、医者の分野ひとつで、口の中の治療に特化した外科です。
実は、歯科医師免許があれば口腔外科医になることができるのです。
そのため口腔外科医には、2種類の医者がいます。
- 歯科医師免許を持っている口腔外科医
- 歯科医師免許を持っていない口腔外科医
つまり、「口の中の外科的な治療」については、歯医者も医者もできるのです。
ただし、歯や口の中の治療に関しては専門性が高いため、実際には歯科医師免許を持った歯医者が治療を担当することが多いです。
医者は歯医者を見下す?歯医者を見下している医者がいる理由
医者の中には、歯医者を見下している人もいます。
歯医者を見下している主な原因は、大学に入学する難易度にあります。
大学の医学部は、歯学部に入るよりも難易度が高い場合が多いです。
歯学部は、地方の国公立大学であれば偏差値が55以上でも目指すことができます。
それに対し医学部では、私立でも60以上の偏差値がないと入学が難しい大学が多いです。
大学に入学する時の偏差値の格差から、医者の中には歯医者を見下しているような人もいます。
また医学部に合格できなかった結果、歯学部に入学する人も多いです。
そういった場合には、逆に歯医者として、医者に劣等感を感じている人も中にはいます。
医者は歯医者を見下す?医科と歯科は成り立ちが違う
昔は、歯科が医療とは考えられていませんでした。
以前の歯科は、虫歯の治療や入れ歯・さし歯の制作が主な仕事でした。
そのため歯医者には、入れ歯やさし歯の制作のために手先の器用さが求められたため、歯科と医科が別々に扱われるようになったのです。
ところが、現在では歯周病など、口の中の病気や治療が注目されてきています。
最近の研究では、歯周病などの病気が、全身性疾患と深く関わってきていることがきており、歯科や口腔衛生の重要性が再認識されてきています。
健康的な口の中の環境が、元気に過ごしていくために必要と言われる時代です。
今後は、ますます歯医者に対する考え方が変わってくると言えるでしょう。
医者は歯医者を見下す?医者も歯医者も専門職
医者と歯医者は、持っている資格も仕事の内容も違います。
医科や歯科は、それぞれの専門性を活かしながら医業にたずさわっています。
どちらが優位な立場なのかということよりも、患者さんが持っている悩みに対して、どのような治療が必要になってくるかが重要です。
医者と歯医者の違いを踏まえながら、仕事に取り組むようにしましょう。