医師のフェローとは?医師免許取得後の肩書きとして、フェローという職位を聞いたことがあるのではないでしょうか?後期研修医の立場を差しますが、他にも似たような肩書きがいくつか存在します。
ここでは大学の医学部卒業後から専門医となるまでの流れや、肩書き用語の違いについて説明します。
医師のフェローとは?
医師を目指す医学部生は、6年間の大学生活の最後に医師免許試験を受験し、それに合格すると国家資格である医師免許を取得します。
その後、初期研修医として2年間、内科や外科、救急など一通りの科を経験します。
これが平成16年から始まった「医師臨床研修制度」です。
どの科を専門としても、ある程度の病気はわかるようにしておくことが目的です。
初期研修医期間が終わると、いよいよ専門としたい科を選択し、後期研修医としてその科でおおよそ2~3年間の経験を積みます。
この後期研修医のことをフェローという肩書きで表しています。
医師のフェローとは?|フェローから専門医師になるまで
フェロー期間中、症例数や論文などの経験を満たし、筆記試験などをクリアすると基本領域の専門医認定を受けることができます。
これまで学会ごとに認定基準が定められていましたが、今後は第三者機関による統一された基準により認定が行われます。
専門医を目指して、後期研修で専攻を決めるとき、大学時代に掲げていた目標とは違う科に魅力を感じているかもしれません。
自分の専攻に迷いが生じることもあるでしょう。
選択する際は、自分の置かれた環境を踏まえ中長期的な視点を持って選ぶとよいでしょう。
専門医となったあとでも転科することは可能なので焦らずじっくり考えましょう。
医師のフェローとは?|フェローと同意義の医師肩書き
分かりづらい医師の肩書きには、「研修医」「レジデント」「修練医」「専攻医」「後期研修医」などがありますね。
この中で修練医、専攻医、後期研修医はどれもフェローと同じ意味があります。
一般的に医師免許取得後3年後~5年後をこれらの立場で経験を積む期間としているところが多いですが、何年間をフェロー制度や後期研修医制度として設けるかは病院によってさまざまです。
また、研修医とレジデントは広い意味を持ち、病院によって多少異なりますが、初期研修医から後期研修医まで、つまり医師免許取得後から専門医となるまでを指すことが多いです。
医師のフェローとは?|病院による呼び方の違い
ではなぜ、専門を選択してからの研修期医師に対する呼び方はこんなにも多いのでしょうか。
それはこれまでの臨床研修制度の変遷にあります。
従来、医師免許取得後の研修は専門的志向が強く、基本的な診療能力が不足したまま専門医となる状況が一般的でした。
そこで、平成16年の制度改革で見直しが行われ、研修期間を初めの2年と後半の3年間に分けることで、まずは幅広い分野を経験することが進められました。
このように制度が変わりゆく中で、古くからの病院はかつての呼び方で、比較的新しい病院は制度改革後の呼び方を使用しているため、さまざまな呼び方が存在します。
医師のフェローとは?|医師としてフェローのこれから
そして最近では、新たな制度改革が行われています。
その目的は質の高い専門医の育成です。
新たにプログラム制が導入されるため、フェロー希望者は登録を行い研修を受ける医療機関を押さえなくてはなりません。
この制度改革には他にも目的があります。
まず、地域医療の確保です。
研修を行う施設は地域の中核病院が基幹施設となり、中小病院も連携することで、大都市の病院や大学病院にフェローが集中するのを緩和します。
また、女性医師の多様な働き方に配慮し、妊娠、出産、育児などをしやすいカリキュラムを導入する予定です。
こうした改革により、以前より後期専門研修は統一性が増し、国民の信頼や質の高い専門医の育成につながります。
医師のフェローとは?|目指す人へ
現在まさに変遷上にある臨床研修制度の中で、医師たちは病気を診るだけでなく、患者ときちんと向き合い信頼される医師が必要とされています。
フェローを卒業して専門医として認定されるには、経験症例数や活動実績が必要となります。
しかし若手医師として勉強できる期間であるからこそ、患者の痛みや不安、恐怖に共に寄り添って理解することも今後のキャリア形成の大きな糧となるでしょう。