医者が病院掛け持ち勤務をする理由は、一般的な会社員とは必ずしも一致しません。
なぜなら、常勤医師よりも非常勤医師の方が1日あたりの日当が高く設定されているからです。
では、なぜ医者が非常勤医師として勤務する機会が多くあるのでしょうか。
医者が病院を掛け持ちする理由は人それぞれ
医者が病院を掛け持ち勤務する実態は、研修医の頃から慣習的に行われている影響が少なくありません。
医局医師として各地の病院を回った後で、勤務医になるか開業医となるか選択出来ますが、勤務医となったからといって1つの病院だけに勤務しなければならないというわけでは無いからです。
なぜなら、医師免許を持ち専門医のライセンスを持っている人は限られているので、互いに欠員が出る状況を病院同士で埋めるために非常勤医師としての勤務が一般的となっているからです。
収入を増やすために非常勤医師として働く医者がいる一方で、医局の指示により週1回だけ別の系列病院へ非常勤勤務を行うこともあります。
医者が金銭的理由で病院を掛け持ちするのはなぜか
医者が金銭的理由で病院を掛け持ち勤務する理由は、医学部の学費を必ずしも両親が出しているとは限らないからです。
6年間最低でも通わなければならない医学部では、医師免許取得までに多額の学費が掛かるので、奨学金制度を利用しても今度は返済に追われることになります。
研修医段階や常勤医として働くだけでは、数千万円にも上る学費返済を賄えないために、常勤医よりも日当が良い非常勤として働くわけです。
病院ごとに専門医を必要とする日数が変わるので、手術時のみ必要となる麻酔科医や外科医・当直医といった医者については、外部の病院や系列病院から非常勤医師として高給にて来てもらう方法が定着しています。
医者の病院掛け持ちにより小規模病院は助かっている
医者が病院を掛け持ち勤務することで、大病院のみに集中する専門医を小規模病院でも派遣してもらえるようになります。
大病院にしか無い診療科目やベッド数に対して常勤医として雇ってもコストが高すぎる場合には、週1日または2日だけ来てもらう非常勤医師の存在が助かるわけです。
手術が週1日しか無いにも関わらず、麻酔科医を常勤医として雇う意味は少なく、手術日のみ来てもらえば十分と考えられます。
医者にとっては常勤医よりも日当が高いので収入アップに繋がり、医局にとっては系列病院への影響力を維持することが出来るので互いにメリットが大きいわけです。
医者が病院を掛け持ちするメリットとは
医者が病院を掛け持ち勤務する理由は、必ずしもお金のためだけとは限らずプライベートの時間を確保するためという医師もいます。
常勤医としてのみ勤務医を行っていると、病院側から時間外労働を求められたり休日出勤が当たり前となってしまいがちですから、休日には別の病院で非常勤医師として働いているという意味は医者本人にとっても不用意な呼び出しを防げる意味合いがあります。
常勤医としての勤務実態は、サービス残業という状態になりかねないために、休日に他の病院で働いているという実績はプライペート時間に緊急呼び出しを受けずに済むというメリットが大きいです。
医者が病院を掛け持ち勤務する時の注意点
医者が病院を掛け持ち勤務する際には、最低限注意しなければならない点があります。
常勤医の治療方針に対して原則として口を出さないことが求められていて、あくまでも非常勤医師として働く時には求められている治療内容のみを行うことに集中するわけです。
なぜなら、非常勤医師が行った治療行為によるアフターケアは、常勤医がそのまま引き継ぐことになるからです。
週1回しか非常勤医師として勤務しないために、他の6日間は同じ患者を常勤医が治療することになります。
出過ぎたマネをしないことが、常勤医として普段から働いている医師にとって、逆の立場になる非常勤医師としての経験が役立ちバランスを取るわけです。
医者にとって病院の掛け持ちは珍しいことではない
医者にとって病院の掛け持ちは、周囲を見回しても過半数の医者が行っているので珍しいことではありません。
しかし、なぜ掛け持ち勤務をしているのかという理由については、目的意識を持ち非常勤医師として働いている人の方が遥かに得られるものが大きいです。
中には開業医を目指すために診療科目を増やす目的を持って、普段とは異なる診療科目を掛け持ち先の病院で行っているケースも少なくありません。