薬剤師で自営の年収いくら?将来は独立し、調剤薬局を経営することを考えている薬剤師の方にとって気になるのは、メリットやデメリット、そして年収ではないでしょうか。
たとえ開業にこぎつけても、デメリットのほうが多く、勤務薬剤師より年収が低くては、意味がありません。
そこで、薬剤師が開業した場合の年収や実情などをみていきましょう。
薬剤師で自営の年収
まず、自営の場合薬剤師の年収は、単純に金額だけを見れば1,500万円~1,800万円程度が目安となります。
ただし、これは開業直後から得られる金額ではなく、門前薬局として経営できるのか、近隣にライバルとなる薬局があるかなどによっても異なります。
また、この金額を多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれですが、仮に見込みの年収が1,000万円を下回ってしまうようであれば、開業するよりは、勤務薬剤師として収入を得たほうがよいといえるかも知れません。
これは、薬局を自営で始めること自体、勤務薬剤師と比較するとリスクが格段に大きくなるからです。
法人と個人事業主の違いよる薬剤師で自営の年収
ではもう少し具体的に自営の場合の収入をみてみましょう。
単に自営といっても、個人事業主なのか薬局を法人化するかによっても収入が変わってきます。
個人事業主の場合、経費以外がすべて収入となるため、これに対して税金がかかります。
また、経費を差し引いた後の収入もコントロールすることはできません。
一方、薬局を法人化した場合には、役員と法人は別人格となり、会社と個人で所得を分散させることができます。
たとえば、合計3,000万円の収入がある場合には、半分の1,500万円を役員報酬とし、残りの1,500万円を法人に残したり、あるいは配偶者を役員にするなどして報酬を小分けにすることができます。
このように税制面で有利になるようにコントロールすることで、実質的な収入額も変化することになります。
薬局における規模の違いによる薬剤師で自営の年収
独立して薬局を自営で経営した場合、1店舗だけなのかそれとも複数店舗の経営なのかによっても、収入は異なってきます。
ただし、一般的に薬局経営で自営と呼べるのは1~3店舗程度と考えられますので、この場合の収入はやはり、1,500万円~1,800万円が目安といえるでしょう。
しかし各店舗ごとの収入は、1店舗目と2店舗目以降で異なってきます。
これは、1店舗目は自らがプレーヤーになるとしても、2店舗目以降は従業員の雇用が必要になってくるからです。
このため、1店舗目の収入が1,500万円あったとしても、2店舗目以降では、およそ数百万円程度になると考えておかなければなりません。
薬剤師で自営の年収は経費によって異なる
独立して薬局を自営で経営する場合、法人化していれば経費の面でも有利な部分があります。
所有している車は法人の持ち物とすることで車検費用やガソリン代、保険費用、駐車場代、高速料金などなどを法人の経費とすることができます。
また、住居に関しても法人の所有とし、法人に家賃を支払うという形をとれば、固定資産税や都市計画税などを法人負担とすることができます。
このため、車や住居などの費用を差し引くことで、実質的に収入が増加することになります。
つまり、薬局を法人化すれば、一定の節税効果が見込めることになるのです。
薬剤師で自営の年収を左右する注意点
現在の調剤薬局数は全国におよそ55,000店舗ともいわれますが、2014年に調剤報酬が引き下げられたことも影響して、調剤薬局から「薬剤師訪問サービス」などによる在宅医療へ移行している傾向が見られます。
独立して薬局を自営で経営する場合にはこうした流れも考慮しておくことが必要です。
また、実際に開業する場合でも、立地条件がよければより早く経営を黒字化することができます。
個人薬局を経営する場合には、薬剤師1人につき、1日30~40枚の処方箋を処理すれば家賃や人件費などの固定費が賄えるとされているので、こうした点も目安にしておきましょう。
薬剤師で自営の年収アップを実現するには
薬局を自営で経営する場合、年収アップももちろん大切ですが、いかに早く経営を安定させ、軌道に乗せるかも重要です。
このため、開業資金を用意するだけではなく、運転資金も用意しておかなければなりません。
また、近年は自営で薬局を経営するよりも、勤務薬剤師が増加傾向にあるため、開業はそれなりに高いハードルがあることも理解して、強い意志と覚悟を持って臨まなければなりません。