ケアマネに薬剤師がなるメリットについてお話しします。
ケアマネ(ケアマネージャー)と言うと、介護福祉士のような介護関係の職業の方が免許を取得して始めるというイメージがありますが、医療職である薬剤師がケアマネを取得するメリットはあるのでしょうか。
ケアマネに薬剤師がなるメリット|ケアマネージャー(ケアマネ)とは
薬剤師がケアマネを取得するにあたり、ケアマネとは何かをまず知っておく必要があります。
名前の通り、他の職種と連携を取り、ケア(介護)をマネジメント(管理)するという職業になります。
抽象的ですが、より人権に基づいた表現を取るなら、介護を利用される方の代弁者となって、利用者さんが望む地域活動やデイサービスなどの介護を結びつける仕事になります。
具体的な表現をとるとケアプランの作成や給付管理を行う仕事です。
実際現場に出て直接介助を行うわけではないため、(直接患者さんを施術したり、治療行為を行わない)薬剤師との親和性も高い資格と言えます。
ケアマネに薬剤師がなるメリット|薬剤師とケアマネのつながり
主に一番のつながりになるのが、在宅医療になります。
少子高齢化により高齢者が増えると、在宅医療のニーズも高まり、自宅療養されている患者さん(利用者さん)に対して服薬指導や管理指導を行います。
そういった時にケアマネージャーとも連携をとって、他の介護職や医療職の橋渡し役になってもらい、適切な薬剤管理を、より確実に行う上で非常に重要な事項となります。
また、連携がうまくいくことで家族の方の介護負担の軽減にもつながります。
この連携を薬剤師自らがケアマネになることで橋渡し役の中心になったとしたら、きっとよりよい薬剤管理ができるはずです。
ケアマネに薬剤師がなるメリット1|実績が有利
ケアマネージャーの試験を受けるうえで、薬剤師として(病院、調剤薬局いずれであっても)5年以上勤務経験があれば、受験資格を得ることができます。
介護施設に勤務した経験がなくても、同様の資格があると見なされ、試験を受けることができるのです。
また、在宅医療に薬剤師としてかかわった経験は、ケアマネの仕事に非常に有益なものになります。
また、試験問題も半分は制度や介護の知識ですが、残りの3~4割は医学的な知識を問う問題なので、薬剤師としての知識や経験が十分生かせる可能性があります。
このようにケアマネ試験を薬剤師が受けやすく、在宅医療に生かしやすいというメリットがあります。
ケアマネに薬剤師がなるメリット2|転職が有利
日本の高齢化率は増加の一途をたどっており、介護が必要になる人口も増え続けるのは確実です。
日本の介護政策も以前のように施設に入れるという選択肢は少なくなり、ほとんどの場合を在宅で行うという方針に転換しつつあります。
そういった事態が進展するにつれ、ケアマネの市場は増加の一途をたどっていきますから、薬剤師の経験やスキルを生かせる転職先としての選択肢も得られます。
医療業界も今後どうなるか分からないという不安な時代に入りつつありますから、将来の選択肢を増やしておくということは、決して無益な事ではありません。
薬剤師がケアマネになるメリット3|連携に生かせる
薬剤師がケアマネになるメリットは冒頭でもお話しした通り、在宅医療に生かせるということです。
調剤薬局を行いながら、在宅介護連携に生かせたら、在宅医療の管理に介護職を巻き込み、在宅介護の管理に在宅医療を巻き込むことで、相乗効果による介護力の向上につながります。
薬剤師自らがケアマネとして各専門職の橋渡しを行うことで、よりよい介護ができます。
両立が難しい場合もありますが、介護の知識がある在宅医療に携わる薬剤師と、そうでない薬剤師とでは大きな差別化もできます。
薬剤師の増加が叫ばれる昨今、差別化は重要な要素と言えるのではないでしょうか。
ケアマネに薬剤師がなるメリット|まとめ
かつて高齢者が少なく、介護と医療が完全に分離していた時代であれば、薬剤師がわざわざ異業種である介護業界に携わる必要はありませんでした。
しかし、時代は変わっており、介護と医療は徐々に融合しようとしています。
そんな時代にあって薬剤師がケアマネになる、ケアマネを兼ねるということは時代の潮流に合わせた働き方の一つであると言えます。